英語の頻出領域はカウンセリング理論|おさえておくべき3つのポイント | 臨床心理士指定大学院対策

カウンセリング理論





ご訪問ありがとうございます。こんにゃろうです。

以前より、英語の過去問分析を!と読者様からリクエストを頂いておりましたが、なかなかアップできておりませんでした(*_*;

長らくお待たせしましたが、今回こそはと英語の過去問分析をしていきたいと思います。

まずは、心理系大学院の入試に合格するために必要な力はなんでしょう?

4つ挙げられます。

  1. ザ・英語力 (文法、構文をとる力、単語力)
  2. 心理学背景知識
  3. スピードと時間配分
  4. 日本語力(わかりやすく相手に伝える力)

これらの4つの力については、こちらの記事に詳しくかいてあります。最強の英語対策!合格するために必須の4つの力|臨床心理士指定大学院入試対策

また、英語長文の速読のコツについては、こちらの記事に詳しくかいてあります。⇒時間が足りなかったとは言わせない!英語速読のコツ8選|心理系大学院入試対策

上の記事にも書きましたが、大学院の入試は、

単に英語が得意ってだけでは大学院試験に打ち勝つことはできません

背景知識もすごく重要となってくる、ということを、決して忘れてはいけません

また、やみくもに英語を勉強してもなかなか、力を伸ばすことは難しいです。

合格を勝ち取るためには、戦略的に勉強していかねばならない、ことを忘れないでください。

では戦略的に勉強するにはどうしたらよいか?…………過去問を解く!

過去問分析をやるかやらないかが合否の分かれ道

志望校が決まったら即やりましょう。このやり方が一番近道なのです。

過去問を取り寄せたら、

  • どんな領域が出されているのか(頻出領域の確認
  • どんな解答形式がでているのか(全訳、要約、穴埋めなど)を把握しましょう。

 過去問分析さえ怠らなければ合格は近い!と断言してもいいくらいです

つまり、範囲を絞り、勉強するところを焦点化させるのです。これが効率化につながります。

その分野の背景知識と専門用語を徹底的に勉強しましょう

最初は、過去問をみると解ける気がしなくて、落ち込むし、ついつい後回しにしてしまうかもしれません。でも今は解けなくてもいいのです。志望校の出題傾向をつかむ、ことが大事なのです。直前で後悔しないためにも過去問分析を最初にしておくことをおすすめします。

まだ志望校が決まってない人はこちらの記事を参考にしてみてください

臨床心理士指定大学院の志望校の選び方|絶対押さえておきたい4つのポイント

効率2倍!臨床心理士指定大学院志望校選びのための情報収集

 ということで、かなり前置きが長くなりましたが、さっそく過去問分析にいってみましょう。

 

今回とりあげた過去問

 

    Who should establish the goals of counseling? Almost all theories are in accord that it is largely the client’s responsibility to decide these objectives, collaborating with the therapist as therapy proceeds. Counselors have general goals, which are reflected in their behavior during the therapy session, in their observations of the client’s behavior, and in the interventions they make. It is critical that the general goals of counselors be congruent with the personal goals of the client.

In my view therapy ought to begin with an exploration of the client’s expectations and goals. Clients initially tend to have vague ideas of what they expect from therapy. ~~つづく~~(東京成徳大学大学院 心理学研究科 2007年度)

 今回は、どの大学院でも出されやすい頻出領域、カウンセリング理論についての英文をとりあげてみました。いかがでしょうか。ぜひ、下の解説を読む前に、何も見ずに訳してみてください。

 

 解説

    Who should establish the goals of counseling?

  • Who が主語S
  • should establish が動詞V

establish  設置する/制定する/定める/確立する/立証する

カウンセリングの目標は、誰が設定すべきなのか。

 

    Almost all theories are in accord <that it is largely the client’s responsibility to decide these objectives, collaborating with the therapist as therapy proceeds>.

  • Almost all theories 主語S
  • are       動詞V

accord 調和/ 一致/ 合意 in accord 一致している

that 以下はすべてaccordを修飾している。

that節の文は、”it is ~to・・・・・・・.”の構文(・・・・することは~である)

collaborating 以下は分詞構文になっている。意味は、付帯状況の「~しながら」

as therapy proceeds のas は「~につれて」

procced 進展する,進む    largely 大部分は   objective 目標,方針,目的  collaborate 協力する,協働する,合作する

ほとんどすべての理論は、これらの目標を決めるのは主にクライエントの責任であると一致している。それは、セラピーが進展するにつれて、セラピストと協働しながら行うのである。

 (文法に従えばthat節がaccordを修飾しているように訳すほうがよいのかもしれませんが、わかりにくいので、カンマのところで一度切り、カンマ以下を補足的に訳しました。)

     Counselors have general goals, <which are reflected in their behavior during the therapy session, in their observations of the client’s behavior, and in the interventions they make>.

  • Counselors  主語S
  • have   動詞V
  • goals   目的語O

,whichは関係代名詞の非制限用法

which節の文の中にin~~が3つあります。⑴⑵が並列になっています。

In their observations of the client’s behavior

  • 直訳:クライエントの行動についての彼らの観察の中で⇒わかりにくいので意訳
  • 意訳 : クライエントの行動を彼らが観察する中で

 general 一般的な   reflect  ~を映す,示す,反映する   intervention 介入

カウンセラーは一般的な目標を持っている。それは、セラピーのセッションにおける彼らの行動の中で、クライエントの行動を彼らが観察する中で、そして、彼らが介入をする中で、映し出されている。

 

     It is critical <that the general goals of counselors be congruent with the personal goals of the client>.

“It is +形容詞+that節” の強調構文

  • the general goals that節の主語S
  • bethat節の動詞V

強調構文の形容詞が、主張や強い願望を表す形容詞がくる場合 (proper/ important /necessaryなど。ここではcritical that節の中の動詞は原型となることがあります。そのためここはbeとなっています。原型beとならずに、

 that the general goals of counselors is congruent with the personal goals of the client となっても文法的に誤りはありません。

critical 重大な(「批判的な / 重篤な」という意味も覚えておきましょう。) congruent 適合する,一致する

カウンセラーの一般的な目標は、クライエントの個人的な目標と一致することは非常に重要である。

 

     In my view therapy ought to begin with an exploration of the client’s expectations and goals.

  • therapy が主語S
  • ought to begin が動詞V

view 見解         ought to~   する義務がある

私の見解では、セラピーは、クライエントの期待と目標を探索することから始まらなければならない。

 

     Clients  initially  tend to have vague ideas of what they expect from therapy.

  • Clients がS
  • tend がV

initially はじめに、最初に     tend to~    ~しがちである,~する傾向がある  vague ぼんやりとした,曖昧な,不明瞭な

 関係代名詞what=the thing which

クライエントは、最初は、セラピーから期待するものについて漠然とした考えをもつ傾向がある。

 

 訳まとめ

カウンセリングの目標は、誰が設定すべきなのか。ほとんどすべての理論は、これらの目標を決めるのは主にクライエントの責任であると一致している。それは、セラピーが進展するにつれて、セラピストと協働しながら行うのである。カウンセラーは一般的な目標を持っている。それは、セラピーのセッションにおける彼らの行動の中で、クライエントの行動を彼らが観察する中で、そして、彼らが介入をする中で、映し出されている。カウンセラーの一般的な目標は、クライエントの個人的な目標と一致することは非常に重要である。
私の見解では、セラピーは、クライエントの期待と目標を探索することから始まらなければならない。クライエントは、最初はセラピーから期待するものについて漠然とした考えをもつ傾向がある。





 習得しておくべき背景知識

カウンセリングや心理療法にはいろいろな理論があります。が、理論や考え方が違ったとしても、優れたカウンセラーには、共通した要因があると言われています。今回の英文は、この共通要因に関連した内容となっています。

その共通した要因とは、クライエントとカウンセラーとの信頼関係です。

この信頼関係のことをラポール(ラポート)といいます。ラポールを築くには、クライエントを尊重し、共感的に傾聴する姿勢がカウンセラーに求められます。

信頼できるよい関係が築くことさえできれば、それを基盤に、カウンセリングはうまく進展していき、クライエントの心の成長や問題の解決に結びついていきます。

また、そのような変化が生じるためには、ただ何となく話をしているだけではだめで、ラポールを基盤に、目的や目標をもって専門的な関わりをもっていくことが求められます。

ここで臨床心理面接の流れを把握しておきましょう。

 

 臨床心理面接の流れ

rinnshosinrimensetunonagar

※この図は大学併設の心理相談室をモデルにしています。

この中のインテーク面接(初回面接のこと。受理面接とも言われる)は、受験で超頻出用語なので、必ずおさえておきましょう。ここでは詳しく書きませんが、、

  • インテーク面接とは何か
  • インテーク面接での留意点
  • インフォームドコンセントとは
  • 治療契約とは
  • 臨床心理アセスメントにおける面接法、観察法、心理検査法とは

などなど、をポイントに押さえましょう。

 

 主訴

インテーク面接で、クライエントが最初に訴えてくる問題のことです。(職場でいじめにあっている。高校生の息子が不登校になった。等)

しかしながら、クライエントの本当の問題は、最初のインテーク面接だけで把握できるとは限りませんこのあたりが、今回とりあげた英文の内容と関連するところです。クライエントが何を求めているのか、どうなりたいのか、ということはクライエント自身も最初は、わからない場合が多いのです。

悩んでいるのだけれど、どうすればいいのかわからない、変えられない現実にどうむきあえばよいのかわからない、苦しいのに、それが自分自身でも何なのかわからない、

これらは、主訴として、クライエントから語られない場合が多いのです。

これについて、クライエントとカウンセラーが一緒になって、そもそも問題は何なのか、に取り組むことによって、クライエントのそれまで漠然としていた悩みや不全感が、次第に形になっていき明らかになっていきます。

何に悩んでいるのかさえわからなかった人にとって、それが明確になるだけで、まるで霧が晴れたように心が楽になっていきます。

 解放

 

カウンセラーの基本的態度

ロジャーズの唱えた、カウンセラーに求められる態度条件はすごく有名ですね。多くの心理療法やカウンセリングの基本とされています。

  • 無条件の肯定的関心
  • 共感的理解
  • 自己一致(純粋性)

 言うまでもないですが、この3つは、すらすらと説明できるようにしておくことは必須です。英単語も必須です。

 今回の英文の内容と関連する、2番目の共感について少し補足したいと思います。

 ロジャーズは、共感的理解について、「クライエントの私的世界をあたかも自分自身の私的世界であるかのように感じ取ること」と表現しています。

 晩年になり、共感は「状態」ではなく「プロセス」であると言うようになります。セラピストが感じたものを、クライエントに伝え、それが正確な感じ(sensing)なのかどうかを共に検証していくことである、と論文に書いています。まさに、セラピストとクライエントとの協働作業ですね。

 今回の英文は、「カウンセリングの目標を決めるのは、最終的にはクライエントではあるが、このようなセラピストとの協働作業のプロセスを通して、真の目標をセラピストとともに探索し決めていくものだ。」と言っているのです。

 

カウンセリング・心理療法の様々な考え方

 カウンセリングについての共通要因については先に書きましたが、今度は様々に多様化する考え方についてです。調べれば調べるほど、めちゃくちゃたくさんの考え方や理論があります。ここでは、私自身が多様化された考え方をシンプルに理解するのに役に立ったものを紹介したいと思います。

個人の内部にある現在、過去、未来の関係、個人と他者(環境)との相互作用、全体を取り巻くシステムについて表したものです。いずれに焦点をあてるかで考え方が変わってきます。

カウンセリング考え方

 ※有斐閣『心理学』無藤隆、森敏昭、遠藤由美、玉瀬耕治著 のものを参考にしております。

    過去から現在に至る過程をとらえていくもの。精神力動論的アプローチ

    現在の主観的・現象学的世界を重視する。来談者中心的アプローチ

    環境の要因と人の行動との関係を中心に考えていくもの。行動主義・認知行動主義的アプローチ

    クライエントの問題を本人のものだけと考えるのではなく、取り巻くシステムに焦点を当てるもの。家族療法などのシステム論的アプローチ

    システム論的な考え方から派生したものとして、未来志向の考え方。ブリーフセラピーなどの解決志向的アプローチ

と、このように整理するととてもわかりやすいですよね。お役に立てれば幸いです。

 

 関連するテクニカルタームまとめ

  • 主訴 chief complaint
  • インフォームドコンセント informed consent
  • リファー refer
  • ラポール rapport
  • 共感的理解 empathic understanding
  • 無条件の肯定的配慮 unconditioned positive regard
  • 自己一致(純粋性)self-congruence(genuineness)
  • 今ここ here and now
  • 実現傾向 actualizing tendency
  • 非支持的カウンセリング non-directive counseling
  • 自己受容 self- acceptance
  • 十分に機能する人間 fully functioning person
  • 感情の反映 reflection of feeling
  • 基本的傾聴の連鎖 basic listening sequence

 

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まとめ

英語の頻出領域 カウンセリング理論でおさえるべき3つのポイント

  1. 臨床心理面接の流れを把握する。特にインテーク面接については頻出。
  2. カウンセラーの基本的態度は必須。英語の専門用語も徹底的に覚えること。
  3. 様々な多様化した心理療法を整理してとらえておこう。

 以上、いかがだったでしょうか。ここまでお読みくださりありがとうございます。

さて、次は、今注目の心理職の国家資格、公認心理師について書いています。

次の記事は↓↓↓

公認心理師VS臨床心理士|他学部出身者が心理職を目指すには?


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