事例問題が全く解けないときの対処法|臨床心理士指定大学院入試対策





ご訪問ありがとうございます。こんにゃろうです。

先日、9月9日(2018年)日本初の公認心理師の国家試験が行われましたね。私も受けてきました 😉

試験時間は合計4時間!様々な領域から幅広く問題が出されていて、正解が一つに絞り切れないような問題も多く、大変苦労しました。

公認心理師試験の出題傾向は、臨床心理士指定大学院(公認心理師対応大学院)の入試問題の出題傾向にも大きく影響すると思われますので、今後は、そのような傾向をもふまえ、役に立つような情報を発信していきたいなぁと思っています。

さて、今回は事例問題についてです。

事例問題というのは、架空のクライエントの事例が書かれてあり、「あなたがカウンセラーならどうしますか?」といった対応や、見立てや援助について問われる問題です。

【論述対策】事例問題を斬る!何故事例問題は難しいのか?|臨床心理士指定大学院入試対策 にも書きましたが、

カウンセリングなど経験したことない大学院受験生にとっては、事例を読んでも、なかなかイメージしづらく、事例問題は大変難易度の高いものになります。

事例を読んでも、

????

わからなーい!何書けばいいの?となってしまいませんか?

今回はその「何書けばいいの問題」に少しでも役に立てればと思います。

今回とりあげる過去問は東洋英和女学院大学院からの過去問です。

小学6年生男子A君が「死にたい」と母親にもらすようになった。心配した母親が学校外にある施設相談室に相談に来た。母親によれば、クラスで無視などのいじめをうけているらしいが、A君はそれ以上詳しく話したがらず、「担任に言わないでほしい」と母親に言ったそうである。その母親から相談を受けた相談室のカウンセラーとしてどのように対応するか。母親に対してどのように答えるか等、具体的な対応を挙げて、答えなさい。[400字程度](東洋英和女学院大学院 2016年度)

 

事例問題のパターン

事例問題のパターンは、私が知る限りでは3つのパターンがあります。

パターン1:心理検査を答えさせるもの

「このようなクライエントに対して、どのような心理検査を用いるのが適切か?またその理由を書きなさい」

パターン2:ある理論的立場から、クライエントの臨床像に対する見立て、援助方法を問うもの

認知行動療法的立場、精神分析的立場などの理論的立場を、出題者側が指定して答えさせる場合と、受験生に理論的立場を明記させた上で見立てを書かせるものなど、があります。

「精神分析の立場から、どのように臨床像を見立てるか、またその援助方針を述べよ。」

「どのような理論的立場に立って、どのような点に着目し、どのように対応していくか具体的に論じなさい。」

パターン3:(理論的立場の指定は特になく)あなたがカウンセラーならどんな対応をしますか?と問うもの

このパターンにはスクールカウンセラーとしての対応を問う場合が多いです。

「あなたがこの学校のスクールカウンセラーならどう対応しますか?」

 

 

今回とりあげるこの過去問は、③のパターン

かつ、スクールカウンセラーではなく、学校の相談室のカウンセラーを想定したものということになります。

 

では早速いってみましょう。

最低限おさえておくべき注意点

 

心理的援助の流れをまずおさえておきましょう。基本中の基本ですので、わかっていない人は要注意です。

 

電話申し込み後、クライエントがまず相談機関に訪れます。

クライエントが相談機関に来談した際に行う最初の面接のことをインテーク面接といいます。

そこでは主に、心理査定を行い、援助方針をたてます。

 

心理査定(アセスメント)とは?

総合的に情報収集をおこない、その人の特徴や問題の所在を明らかにし、どのような方法で援助するのが望ましいのかを検討することです。

つまり、クライエントの問題はどこにあるんだろう?と問題の背景要因をさぐります。そのために、クライエントの話を聞き情報収集をしていきます。

その際に、問題の原因はここにあるのではないか?という仮説(おおよその見当)をたてます。その仮説のことを見立てといいます。

例えば…

[不登校で困っている]という主訴で訪れた場合ならば、クライエントから話を聞き

[友人とのトラブルをきっかけに不安が高まってきて不登校になっているのではないか?]といったような見立てを立てます。

あくまで仮説であることに注意してください。一回話をきいただけですべてがわかるわけではなく、その後の援助過程のなかで柔軟に見立ては変わっていきます)

そして、その上で、このような方向で援助していきましょう、という援助方針の策定を行います。

(認知行動療法をしましょうとか、支持的心理療法をしていきましょうとか、母子並行面接をやっていきましょうなどです)

….と、ここまでが心理査定です。

 

インフォームドコンセントを経て契約へ

そして、クライエントに援助方針を説明し、同意を得ます。これをインフォームドコンセントといいます。

クライエントの同意が得られたなら、契約(料金や頻度などを決める)をして、援助が開始します。

…….とここまでの流れをおさえておきましょう。

 

注意!解答の際にすぐに援助方法を書いてはいけない

「あなたなら、どう対応しますか?」という事例問題の場合、すぐに「〇〇療法をします」といったような援助方法を書いてはいけません!

何故ならば、心理査定をしないまま、援助をするということはありえません。

クライエントがもっている悩みの背景要因を分析もせずに、心理療法をやるなんてことはありません。

例えば、咳や熱が出てたら病院へ行きますよね。咳や熱が、風邪からきているのか、インフルエンザからきているのか、肺炎からきているのか、調べもしないで、薬を出す医者はいませんよね?

それと一緒です。

クライエントがもっている悩みが一体どこからきているのか?その背景にはどういったものがあるのか?を心理査定できちんと把握します。その上で、援助方針をきめて、そして援助が開始されるのです。

まずは、査定を行う‼、ということを忘れないでください。



 

どう答えるか

 

ここからは、事例を読み解く人の立場や考えによって違いがありますので、あくまで、こんにゃろうの個人的視点も入っている….ということをご了承ください。

 

事例のなかで注目すべきポイント

問題文から、わかっていることは以下の5つ

 

・相談に来たのは本人ではなく、母親である。

この場合、最初に相談に来た人という意味でこの母親のことをFirst Client と言います。そして、問題を呈しているのは、小6男子のA君。A君のことをIdentified Patient(患者とみなされる人)と言います。

・自殺をほのめかしている

・いじめられている可能性が高いが、詳しいことは話さない

・「担任に言わないで」と言っている

・相談をうけているカウンセラーは、学校外のカウンセラーである

 

 

心理査定をメインに解答する

 

場の設定は、「心配した母親が学校外にある施設相談室に相談に来た」とあるので、インテーク面接での対応を聞かれている、と考えられます。ということで、

心理査定をメインにした対応、ということを軸に答えていきます。

 

1)問題の背景や生育歴などの情報収集

まずは、母親の動揺や不安をくみ取り、思い切って相談にきたことをねぎらう。(「大変でしたね。」「思い切って今日はここにこられたのですね。」)

母から詳しく情報を聞き取る。A君のこれまでの学校での様子、家庭での様子、現在の様子に至るまでの経過を把握する。

加えて、A君の生育歴や発育に関する情報なども聞きつつ、どうして今のような状態になっているのかを母からの情報をもとに、検討する。

 

2)自殺念慮に対するリスクアセスメントを行う

 

「死にたい」という言葉がでていることから、自殺のリスクアセスメントを行う必要がある

・どの程度、緊急性があるか?を判断する。(「混乱してせっぱつまった感じはありますか?」 「抑うつはありますか?」「計画をたてていたり、手段を考えていそうですか?」「過去に自殺企図はありますか?」)

・危険性が高いのであれば医療機関に入院することも視野にいれる。

・危険行為を行うような場所に行かせない、一人にしない、などの環境への配慮、自殺への予兆に注意を払うことについての助言をする

・「どんなことがあっても死なない」と約束することを提案する。

 

3)いじめに対するリスクアセスメント

・「無視などのいじめ」とあるが、どの程度のいじめなのか?ここでもリスクアセスメントが必要。

・本人が詳しく話したがらないということなので、いじめの事実確認や詳細を確認するには学校の協力が必須となる。また、いじめを解決するためにも、学校全体の協力体制がどうしても必要となる。

しかしA君の「担任に言わないで」という思いも無視することはできないため、「あなたを守るために学校に協力を求める必要がある」ということを粘り強く伝え、本人の合意を得られるような方法を、母親と話し合う。

・A君の通う学校のスクールカウンセラーとつながる可能性についても話し合う

 

4)ラポールの形成

・母がFirst Clientであるから、まずは母とのラポールを形成しつつ、母子が良好な関係を維持できるように助言をする。

・A君の来談可能性についても母親と話し合う。

 

5)最後に

以上のような点を念頭におきながら、査定面接をしたうえで、今回のケースが当該相談機関で受理可能と判断され、かつ母親に継続面接が希望された場合は、インフォームドコンセントを通して契約を結ぶ。

 

 

解答のポイント

 

◎査定のプロセスをすっ飛ばして、すぐに援助方法を書かない

先にも書いたように、査定をしないで援助するということはありえない。査定→援助という流れを忘れない。

 

◎自傷他害の内容があれば、リスクアセスメントについての言及をしよう。

今回は自殺に関するものでしたが、他にもDV、虐待、殺人予告など、まずは、人の命の安全が守られているかを確認することが最優先。緊急性があるものであれば、危機介入を行う。

 

◎スクールカウンセラーならば連携について書く。

今回は事例は、学校のカウンセラーという設定。スクールカウンセラーではないので、学校との連携がすぐにできる立場ではない、ということは頭に入れておこう。今回の場合は、母親がスクールカウンセラー(もしくは養護教諭など)とつながる可能性をさぐることが現実的ではないかと思われます。

もしこの事例が、スクールカウンセラーという設定であれば「あなたがスクールカウンセラーならどう対応しますか?」ならば)、連携について書くことがおすすめ。

何故なら、スクールカウンセラーには、校長、教頭、担任、養護教諭、保護者などと連携しながら、学校というコミュニティにアプローチすることで、学校でおきる問題を解決していくこと(コミュニティ臨床)が求められているからです。

※しかし、この場合でも、査定のプロセスをすっとばして、即「連携を行う」と書かないようにしましょう。(例「十分な情報収集をしたうえで、担任や保護者にコンサルテーションを行う」)

 

【補足】覚えておこう。守秘義務の例外について。

心理士(師)には秘密保持義務が厳格に規定されています。(秘密が守られるからこそ、クライエントは自由に話すことができるし、そういう場であるからこそ援助ができるのですね。)

しかし、例外があります。

  • 人命にかかわる非常事態(殺人が予想される場合、自殺が予想される場合など)、
  • 虐待が疑われる場合

などは、守秘義務よりも保護義務(犠牲者となりうる人に危険を知らせる等)が優先されます。

また、

  • 専門家同士の連携による情報共有においては、チーム内守秘義務となる(チームで秘密保持を行う)。

よって、学校で起きるいじめなどの問題は、当事者(被害者)の同意を得た上で学校全体で個人の秘密を守るというスタンツになります。

 

最後に!試験本番で、全く何を書いていいのか、わかならかったときはどうする?

 

本番で予想外の事例問題がでた….

頭をひねっても、ひねっても、何も浮かばなーい!となってしまったら….

そのときは……

 

……とりあえず、何か書こう。

何も書かなければ、0点決定ですね…..

でも何か書けば、もしかすると、部分点くらいはもらえるかもしれない。

 

わからなくても とにかく書こう。

書けることを書こう。

(「話をじっくり聞く」「ラポール形成に留意する」「情報収集を行う」「関係機関と連携する」などなど….)

 

今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

こちらの記事にも事例問題について書いてますので参考にしてください。

【論述対策】事例問題を斬る!何故事例問題は難しいのか?|臨床心理士指定大学院入試対策

受験生のほとんどの人が事例は難しいと思っています。私も実は、いまでも事例問題は難しいと思っています

あまり気負わず、今の自分が書けることを書く!という姿勢で挑んでください。

おすすめ書籍

すごくおすすめです。

読みやすい!事例が沢山!

具体的に患者にどう語り掛けるか、といった実際の言葉かけの例も沢山載っている。

ケースをどう見立てるかの目のつけどころを学ぶ上でも参考になります。

ここまでお読みくださりありがとうございます。
次回は英語に関する記事です。長文読解のための速読法を取り上げています。
次の記事は⇊⇊




この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter でこんにゃろうをフォローしよう