ご訪問ありがとうございます。こんにゃろうです。今回も過去問分析の記事です。
これまで、いくつかの具体的な過去問について解説してきました。
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これらは、ある一つのテーマに従って、説明していくというタイプの問題がほとんどでした【説明タイプ】。なので今回は、2つ以上のキーワードについての比較が問われる問題をとりあげます【比較タイプ】。
例として頻出用語、「コンサルテーション」をとりあげます。
コンサルテーションは、論述問題でも用語説明問題でも超頻出用語です。単発で問われることもありますが、スーパーヴィジョンやカウンセリングとの比較で問われることが圧倒的に多いですので必ず、これらとの比較でおさえておきましょう。
カウンセリングとコンサルテーションの異同について説明しなさい。(東京家政大学 2011年)
コンサルテーションとスーパーヴィジョンの異同について述べなさい。(東京福祉大学 2011年)
※「異同」とは「違い」の意味です。
ということで、コンサルテーション / カウンセリング / スーパーヴィジョン これら3つの相違点をまとめていきたいと思います。では早速いきましょう。
コンサルテーションとは?
まずは コンサルテーションとは何かをおさえましょう。コンサルテーションは臨床心理士の4つの専門業務のうちの臨床心理的地域援助のひとつです。
(4大業務がわからない人は⇒臨床心理士とは?という質問に5分で完璧に答えてみる
例えば、学校で、不登校の生徒がいたとします。教師はその不登校の生徒を援助したい。けれどその方法がわからないので、スクールカウンセラーにどう対応したらよいか相談するとします。その場合、スクールカウンセラーが教師に行う援助はコンサルテーションとなります。
コンサルテーションを行う側をコンサルタント、コンサルテーションを受ける側をコンサルティといいます。この場合、教師がコンサルティ、スクールカウンセラーがコンサルタントとなります。
つまり、心理臨床家(この場合はスクールカウンセラー)が直接、クライエントに関わるのではなく、クライエント(この場合は不登校の生徒)を直接援助しようとするコンサルティ(この場合は教師)の、後ろ盾となって、間接的に支援することがコンサルテーションです。
このように、コンサルテーションは、問題を起こしている人の周りの環境にアプローチし、自分たち自身で支えあっていけるよう、コミュニティそのものの問題解決力を高めていくこと(エンパワメント)を大きな目的としています。(このようなアプローチをコミュニティアプローチといいます)
他の例としては、臨床心理士による親への子育て支援などもコンサルテーションとなります。
カウンセリングとどう違うか?
大きな違いは、コンサルテーションではクライエントへの援助は直接的ではなく、間接的です。それに対して、カウンセリングは、クライエントへの直接的な援助となります。
上の例でいえば、教師が個人的な悩みをスクールカウンセラーに相談する場合は、カウンセリングとなります。
下の表に、違いをまとめてみましたが、一番おさえておきたいのは、カウンセリングに比べ、コンサルテーションの援助は、具体的な問題に焦点化して短期的集中的に行われることが多いという点です。
カウンセリングは、クライエントの心の声を傾聴し、効果を焦らずにクライエントの気づきを長期的なスパンで促していく、という側面があります。それに対し、コンサルテーションは違います。具体的に、こんなことで困っている、どうしたらいいの?というニーズに的確に指示、アドバイスを提案します。このように援助の方向性が明確で具体的です。臨床心理学の専門家としての専門知識や技法を、他の専門家や非専門家に伝授して、具体的にアドバイスをするのです。
コンサルテーション |
カウンセリング |
|
クライエントに直接かかわっている人
(他専門家、非専門家) |
対象 | こころの問題を抱えたクライエント
(他専門家、同専門家、非専門家を問わない) |
クライエントに対する直接的なアプローチではなく間接的な援助。助言。
(臨床心理的地域援助のひとつ) |
形態 | クライエントを直接援助
(臨床心理面接のひとつ) |
クライエントを援助する上での、焦点化した具体的な解決法をアドバイスする
(短期) |
方向性 | クライエントの心の苦悩を軽減し、クライエントの自己成長を促す
(長期) |
スーパーヴィジョンとはどう違うか?
では、スーパヴィジョンとはどう違うのか。大きな違いは、コンサルテーションは、他専門家や非専門家への援助や助言であるのに対して、スーパーヴィジョンは、同じ専門家が対象となります。
スーパーヴィジョンの例としては、新米臨床家がベテラン臨床家に指導をうけながら、クライエントを援助し、自らの専門性も向上させていくといったものです。
スーパーヴィジョンを行う側をスーパーバイザー、受ける側をスーパーバイジーと言います。スーパーバイジーの技能や知識の向上といった教育的な目的でスーパヴィジョンは行われます。
スーパヴィジョンの良いところは、既存の理論では適用できないような、特異なケースの場合どうかかわっていけばよいか、についての指導が直接、熟練した臨床家から受けられるところにあります。
コンサルテーションと同様、スーパーヴィジョンは、スーパーバイザーからクライエントへの援助は間接的な援助となりますが、相違点としては、コンサルテーションではコンサルタントがクライエントの問題の責任は負わないのに対して、スーパーバイザーは、クライエントの責任は負うことになります。
また【コンサルタントーコンサルティ】の関係は対等であるのに対して、【スーパーバイザーースーパーバイジー】との関係は上下関係となります。
コンサルテーション |
スーパーヴィジョン |
|
クライエントに直接かかわっている他専門家、非専門家 | 対象 | クライエントに直接かかわっている同専門家 |
地域のエンパワメント | 目的 | スーパーバイジーの専門性の向上 |
コンサルタントとコンサルティの関係は対等 | 関係 | スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係は上下関係 |
クライエントの問題に関しての責任はコンサルティがもつ。コンサルタントはもたない | 責任 | クライエントの問題に関しての責任はスーパーバイジー、スーパーバイザー共にもつ。 |
比較タイプ攻略のポイント
AとBを比較して論述させる問題は、過去問でとてもよく見かけます。
ポイント1 表!!を思い浮かべましょう。
上に書いたようなAとBを対比させた表です。
ポイント2 論述を書き始める前に答案用紙のどこかに、アウトラインをメモしておく。
この表が論述の答案を作るアウトラインとなります。メモなしで書いていくと途中で何を書いているのがわからなくなってきますので、必ずメモをしておきましょう。
ポイント3 AとBを対比させる軸を決めましょう。
上記の表の、真ん中の列にある対象、形態、方向性といったものが対比の軸となります。
ここまできたらあとはもう簡単!この表をもとに書いていくだけです。
どのように解答していくか?
冒頭にまず、両者の共通点をあげましょう。その次に相違点という形がベストです。
序論:(共通点)コンサルテーションとカウンセリングはいずれも臨床心理士が行う心理臨床的介入方法である。(相違点の観点を挙げる)しかし両者は、援助形態、対象、方向性の3点において異なる。
本論:まず、援助形態の違いを述べる。コンサルテーションは・・・・。一方、カウンセリングは・・・・。次に対象については、コンサルテーションは・・・・・。一方カウンセリングは・・・・。最後に、その方向性の違いについて述べる。コンサルテーションでは・・・・・。一方、カウンセリングは・・・・・。
結論:以上、両者の違いを述べたが、臨床現場ではどちらでアプローチするのがよいか、時と場合によって適切に選択され、両者が相補的に行われることが望まれる。
参考になれば幸いです。
比較タイプ、説明タイプ、考えを述べなさいタイプなどの解答の雛型について、こちらの記事も参考になります⇒必見!これだけ知っておけばなんとか書ける【論述対策】|臨床心理士指定大学院受験
東京福祉大学大学院について
ここで東京福祉大学大学院について
通信制の臨床心理士指定大学院は3つ。東京福祉大学大学院、佛教大学大学院、放送大学大学院。その中でも放送大学は第2種であるのに対して、東京福祉大学大学院と佛教大学大学院は第1種です。
(第1種指定校とは、修了後、直近の臨床心理士資格審査の受験ができる大学院のこと。 第2種指定校は、修了後、実務を1年以上経験した後、臨床心理士資格審査の受験ができる。)
ということで、東京福祉大学大学院は、通信制であり第一種ということで大変貴重な大学院ですね。
➡ 通信といっても週に1度土曜日、スクーリングがあり、群馬県にある伊勢崎キャンパスまでは行かなければいけないようです。
➡ また臨床心理士試験の受験資格を得るには2年ではなく3年間かかるようです。
➡ 社会人対象の説明会もあるようなので社会人から臨床心理士を目指す方はぜひ視野に入れられるとよいかと思います。
➡ 受験のチャンスが年に3回というのもいいところですよね。9月、12月、2月と試験があるようです。
詳しい情報はこちら⇒大学&大学院.net 東京福祉大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻 通信教育課程
過去問はこちらから無料でもらえるようです。⇒東京福祉大学・大学院 資料請
おすすめ書籍
臨床心理士の仕事において、地域援助というのはとても重要な業務です。臨床心理学というと、心理査定や心理療法に重点が置かれがちですが、今後、予防という観点から地域援助はますます重要な位置を占めていくことが予想されます。個人内レベルからコミュニティレベルへと臨床実践を広げていくことが、コミュニティアプローチの目指すものです。このようなコミュニティアプローチについて、具体的な事例をまじえながら、包括的にかかれています。コミュニティ心理学を重視している大学院を受験される方には特におすすめです。
以上いかがだったでしょうか。ここまでお読みくださりありがとうございます。今後ますます、期待されていくコミュニティアプローチ。その頻出用語である「コンサルテーション」を比較タイプの論述問題から今回はとりあげてみました。
受験勉強のお役に立てば幸いです。さて、次回は英語の過去問をとりあげます。
次の記事は↓↓↓
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