学習不振児 / 勉強ができない子供の本当の理由【事例問題】|臨床心理士指定大学院入試対策

      2017/02/27

学習不振





ご訪問ありがとうございます。こんにゃろうです。今回は前回に引き続き、過去問を解いていきたいと思います。今日とりあげた問題は、学習院大学大学院からです。

小学3年生の女児が学習不振を主訴に母親とともに来談した。学習不振の背景にどんな要因が考えられるのかについて、多角的に論じなさい。(学習院大学大学院 2013年)

 

最近、修士1年ももう終わりに近づいている私ですが、大学併設の心理相談室のカウンセリングを担当することが多くなりました(もちろんスーパーヴィジョンつきです)。その中で、小学2年~4年の児童で勉強ができない、ということでどうしてよいか困っている、というケースを時々見受けます。

 

学習不振….

勉強ができない。。。

たかが勉強。。といっても、勉強ができないことは、子どもにとって大きな生きにくさにつながります。幼い時はそうでもないけれど、学習レベルが段々とあがってくるところで、つまづいてきます。

勉強ができないと、親の叱責も増え、自信も喪失し学校も嫌になる。不登校の原因にもなります。親自身も、そうなれば、子どもへの心配は計り知れなく大きなものとなります。

この過去問は、臨床の場で多く遭遇する学習不振に関する相談、勉強ができない、という悩みにはどういったことが隠されているのか、、、を問うています。

では早速いきましょう。

 

解答のポイント

ポイントとしては、2つの視点が必要。

①   子ども自身の特徴に起因している、と考える視点

子ども自身がもつ特徴、発達の偏りなどが原因で学習不振となっている場合があります。その場合は、どういった偏りやばらつきがあるのかをアセスメントして、こういう特徴がこういう躓きをまねいていて、だから、具体的にこういう工夫をしたらよいのではないか、ということをカウンセリングで考えていきます。心理検査を行う場合もあります。

具体的なものには、

  • 1、境界知能
  • 2、学習障害
  • 3、自閉症スペクトラム
  • 4、ADHD  など

発達障害に関する事例問題は頻出です。詳しくはこちら⇒【論述対策】事例問題を斬る!何故事例問題は難しいのか?|臨床心理士指定大学院入試対策

 

②   子どもを取り巻く環境に起因している、と考える視点

虐待や、親子の問題が複雑に絡み合って起こる場合などです。親子の関係性に介入していく視点が大切となります。

  • 5、虐待
  • 6、親の問題や家族の歪みが、子どもの学習不振という形をとって表れているもの

以上ざっと、考えられる要因を6つ挙げてみました。ではひとつずつみていきましょう。

 

①   学習不振が子ども自身の特徴に起因している、と考えられる場合

 

境界知能

境界知能とは、知能指数IQが70-85のことを指します。(IQは100を平均としています)知的障害はIQ70以下であるため、境界知能は「正常」の範囲です。だから、通常クラスにいて大丈夫とされているのですが、学年があがり勉強が難しくなってくるに従い、ついていくことが難しくなり、学習が遅れがちになっていきます。勉強がわからないから、ますますやらない、やらないからますますわからなくなる、といった悪循環になり、学習不振に拍車をかけます。

学習障害(限局性学習症)

知的障害がないにもかかわらず、ある特定の学習能力に著しい困難を示す障害のこと。特定の学習能力とは、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するの6つ。これらのうちどれかに困難をもつ、とされています。主に、書く、読む、計算の3つに焦点が当たることが多いです。

学習障害をもつ子供たちは、本来もつ能力は高くても、学校の授業で不可欠な、板書や本読みや発表に支障をきたすことが多く、能力をうまく発揮できないという困難さがあります。わかっているのに、、、、テストでうまく書けなかったり、表現できなかったり、問題文を読むのに時間がかかったり。また、計算困難は算数障害といわれ、九九、繰り上がり算、文章題などに著しく困難をきたし、学習不振に直結します。

ADHD(注意欠如・多動症)

不注意、多動、衝動性の3つを主症状とする症候群。生まれつき中枢神経系に何らかの機能不全があると推定されていますが、虐待などの養育環境によるものもあります。衝動をコントロールすることが困難なため、何か刺激があると、そっちに目が向いてしまい、落ち着きのなさを引き出してしまいます。このように集中力が乏しいことや集中を持続することが困難であるため、しっかり座って机に向かう姿勢をとること自体に困難をきたします。学習障害を併発するケースも多いです。

 

自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症とは、発達の早期から

  1. 他者との社会的関係の形成の困難さ
  2. コミュニケーションの障害
  3. 想像力の欠如、限局された興味、常同行動
  4. 感覚の過敏さや鈍感さ

4つの特徴をもつもの。本によっては、1,2,3 の3つのみ書かれているものも多いです(Wingの3つ組と言われています)。が、DSM5ではこれら4つの特徴が①②/③④それぞれがセットになって2つの領域に大別された形となっていますので、受験ではこの4つを書いたほうがよいかと思います。

知的障害を伴う自閉症が学習不振をもつのは自然ですが

高機能自閉症(以前、アスペルガー症候群といわれていたもの)も、知的障害がないのにもかかわらず学習不振を呈することがあります。それにはいくつかパターンがあります。

1、他者との関係の困難さから、周りの意志を取り入れて勉強することができにくい。自分が興味がなければやらない。

2、他者との関係の困難さから、自分だけのやり方にこだわる。先生がアドバイスしても自分のやり方を曲げずに譲らない。自分だけのやり方には限界があり、最初はそれでできていても、だんだん学習の応用がきかなくなってくる。

3、人の気持ちや、社会的文脈を汲み取ることに困難があるので、国語の文章力に支障がでる。

4、感覚過敏があるため、先生の説明を聞いたりするときに、周りの刺激に惑わされ大事なことだけを取り出して聞き取ることができない

とこのようなことが考えられます。

 

②   学習不振が子どもを取り巻く環境に起因している、と考えられる場合

虐待

虐待は、子どもが養育者によって、心身ともに危機にさらされることで、身体的虐待、ネグレクト、性的虐待、心理的虐待が含まれます。虐待が子どもの発達に及ぼす負の影響は計り知れないほど深刻で、脳の機能や神経構造に障害を与えることがが示されています。そのため、虐待を受けた子供たちは、衝動性の高さなど、さまざまな情緒や行動上の問題がおこります。授業中に落ち着きがない、ちょっとした刺激にも反応しがちで集中困難を呈しやすく学習不振につながります。また、大人から与えられるものは辛いことばかりであるため、勉強するよう言われても、虐待の延長ととらえ回避する傾向にあります。

 

親の問題や家族の歪みが、子どもの学習不振という形をとって表れているもの

家族療法の視点です。家族療法では、症状を呈している人のことをIP(identified patient 患者の役割を担う人)と呼びます。IPは、家族システムの病理を代表して症状や問題を表していると考えます。

つまり、学習不振の原因を、子どもに帰するのではなく、

家族メンバー間の複雑な相互作用の何かしらの歪みが、子どもの学習不振となって表れている、と考えます。

円環的因果律

(システムにおいて、相互の影響が連鎖的に生じて、原因が結果になり、結果が原因であるような円環論的な関係性をもつという考え方のことを円環的因果律といいます。家族療法はこの考え方を基本にしています。)

 

例えば、子どもの学習不振で母親は困りながらも、一方でそのことで自分が必要とされ、家庭内で子どもとの緊密な関係が生じることで孤独をまぬがれている、という場合があります。この場合、家族システムが学習不振という形を必要としているのです。

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以上、6つ、学習不振の要因と考えられるものを挙げてみました。次に、この問題にどんな形で解答していくかについて書いていきます。

 

どうやって解答していくか

この問題は、[説明しなさいタイプ]。解答形式としては以下のようなものを考えてみました。解答様式の雛型についてはこちらも参考になります⇒必見!これだけ知っておけばなんとか書ける【論述対策】|臨床心理士指定大学院受験

序論:子どもの学習不振の背景には2つの要因が推測される。子ども自身に何らかの発達の偏りがある場合と、子どもを取り巻く環境に原因がある場合である。以下それぞれについて述べる。

本論:まず、子ども自身に何らかの発達の偏りがある場合、境界知能、ADHD,学習障害、自閉症スペクトラムが考えられる。境界知能とは~~~~学習障害は~~~・・・・・・・・・。次に、子どもを取り巻く環境に原因があると考えられる場合、虐待や家族システムの歪みが考えられる。虐待については~~~~~~~~家族システムの歪みについては・・・・・・。

結論:以上のように、当該クライエントの学習不振が、どのような形で表れているのかを見極め、その取り巻く環境との関係を視野にいれつつ、丁寧にアセスメントしていくことが望まれる。

注意)必ずしも正解を保証するものではありません。

 

学習院大学大学院は英語が勝負!

最後に、学習院大学大学院を目指す方へ

学習院大学大学院 人文科学研究科 臨床心理学専攻の大学院入試は、秋と春の2回。

筆記試験

  • 人文科学研究科の共通英語  / 1時間 / 大問2つでその中に小問あり。下線和訳、要約中心。
  • 専門科目(臨床心理学) / 2時間 / 用語説明7題 論述問題3題
  • 心理英語  / 1時間 / 1つの論文をよみ、3問程度の小問に答える。和訳、要約中心

※口述試験は筆記試験後、筆記試験の合格発表は待たずに、全員受ける。

 

専門科目の時間配分

  • 用語説明 各4分×7題=28分
  • 論述問題 各30分×3題=1時間半
  • 余裕分 2分

くらいかな、思います。

心理英語が難しいため、(機会があったら英語の過去問分析もしていきたいと思っています)英語力に力を入れること!基礎心理学の背景知識もかなり要求される

論述問題は、発達障害や虐待などの問題が過去問によく見受けられるため、そのあたりの準備は必須。おすすめ書籍をあげておきます。

 学習院大学大学院入試情報は→学習院大学大学院

おすすめ書籍

こころの発達とは何か、発達障害や虐待が及ぼす発達の遅れについて書かれている。遅れをもつ子供たちが世界をどう見ているのか、という視点で書かれている。著者は精神科医であり、学習院の教授。

以上、いかがだったでしょうか。必ずしも正解を保証するものではありませんが、受験勉強の参考になれば幸いです。次回も、過去問を解いていきたいと思います。

次の記事は↓↓↓

超頻出!コンサルテーション / カウンセリング / スーパーヴィジョン の違い【過去問分析】|臨床心理士指定大学院対策







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