意外と知らない!うつ病の発症のしくみー有力視されている3つの仮説【立教大大学院過去問】| 臨床心理士指定大学院入試対策

      2017/02/27

うつ病発症2




ご訪問ありがとうございます。こんにゃろうです。

久しぶりのブログ更新です。いつも読んでくださっている読者様、ありがとうございます。少し時間が空いてしまいましたが、臨床心理士指定大学院を目指している受験生に役立つ情報をさらに届けていきたいと思います(*^-^*)

さてさて、今日は立教大学大学院の過去問からこの問題を解いてみます。

うつ病の発症機序として現在有力視されている考えについて述べよ。(2011年秋 立教大学大学院)

何故この問題をとりあげたかというと。。。

うつ病、いまやとても一般的で広く知られた病気であります。

しかしながら、こんなにポピュラーな病気でありながら、意外ときちんと知識を整理している人は少ないように思います。臨床心理士を目指す人が、うつ病について知らない、、、、というのは、かなりまずいのではないかと思います。ということで、この問題は一見、簡単そうに見えますが、受験生の盲点をついた問題だと思います。

うつ病は、不登校や社会人の休職の原因になるだけでなく、自殺との関連で非常に社会的影響の強い精神疾患です(うつ病患者の約15%が自殺をすると言われています)。また、高齢化社会を迎えた今、認知症との関連でうつ病が注目されてもいます。そんな中で、専門家の卵として、きちんと、うつ病について知っているか?を問われているのだと思います。

ってことで、さっそくいきましょう。

 

何を聞かれているのか?

 

用語説明や論述問題で、精神疾患について問われた時は、まず頭に3つ浮かべよう。

  1. どんな症状なのか
  2. 何が原因なのか
  3. どんな援助が有効か

この3つで整理して覚えておくとよいです。原因は不明なものが多いですが、可能性としてよく言われているものをいくつか覚えるのがよいでしょう。

そして今日とりあげた問題は「うつ病の発症機序」。「機序」というのは仕組み、メカニズムのことです。つまり、

うつ病がどのようにして発症するのか、そのメカニズム

が問われています。2の「原因」と考えてよいでしょう

そして、原因となるもので「有力視されている考え」を答えるということになります。

 

ポイントは「生物ー心理ー社会モデル」に基づいて解答する

 

生物ー心理ー社会モデルとは、、個人の抱える問題を「生物」「心理」「社会」という3つの側面から考えることで、総合的、包括的にとらえていこうとするアプローチのことです

例えば、あるクライエントがうつ病になっているとしたら、原因は、「会社のストレスではないか。」と考えるとします。でも、全く同じ会社のストレスを受けたとしても、うつ病になる人とならない人がいるのはどうしてでしょうか。もともとうつ病になりやすい体質だったかもしれませんし、その人の考え方のクセみたいなものが影響しているのかもしれません。

このように、病気の原因をひとつに絞ってしまうのではなくて様々な要因が絡み合って起こると考えることによって、様々な角度からの援助が検討できるようになります。

クライエントを多角的にアセスメントする、というのは臨床心理学の大切な視点です。従って「生物ー心理ー社会モデル」に基づいて解答することはとても大事です。ではひとつずつみていきましょう。

 

1、生物学的視点

 

有力な説としてはモノアミン仮説。モノアミンとは、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質のこと。脳内のこれらの神経伝達物質は、情動(気分)と関係があるとされていて、これらが減少することでうつ病が発症する、という仮説です。

神経

人間の脳神経は、無数の神経細胞のネットワークによってできています。神経伝達物質は脳内の神経細胞の間を行き来して情報を伝達するメッセンジャーのような働きをしています。その情報が行き来する場所、つまり神経細胞と神経細胞がつながる接点をシナプスと呼びます。

シナプス

 

↑シナプス部分です。細胞の末端部分と次の神経細胞の間は完全に結合されず隙間があいています(シナプス間隔)。前の細胞が興奮し、細胞の末端から神経伝達物質がこの隙間に放出されることで、情報の伝達は行われています。ここが適切に機能しないと精神的異常が生じます。SSRIという抗うつ薬は、ここの部分のセロトニンの運用がうまくいくように調整する薬です。

※最近では、「産後うつ病」も注目されていて、神経伝達物質だけでなくホルモンバランスも、うつと関係があるのではないかとも言われています。

 

2、心理学的視点

 

認知心理学の視点からですが、有名なものにベックの認知理論があります。認知療法のベースとなった考え方です。

ベックは、認知、つまり、ものごとの捉え方や考え方、がネガティブに偏ることによって、抑うつが起きる、と考えました。従って、この「認知の歪み」をポジティブな方向へと修正することで、行動を変えていこうとするのが認知療法です。

「うつ病の発症のメカニズム」としては、認知の歪みが抑うつを引き起こす、ということが基本にあります。

もう少し詳しくメカニズムをみてみると、

「認知」は、表層にある「自動思考」と、深層にある「スキーマ」から構成されています。

・スキーマとは

個人特有の、物事のとらえ方のパターンです。個人の思い込みや価値観、考え方の傾向とも言えます。このスキーマはその人の思考パターンを作り出します。自動思考を生み出す鋳型のようなものなのです。

・自動思考とは

ある状況において脳裏に浮かぶ思考やイメージであり、深く考えるまでもなくいつのまにかそうとらえ考えてしまうもの

・抑うつが発症するメカニズム(ベックの認知理論による)

ある出来事を体験する 彼女からラインの返事がこない

↓↓

スキーマから「推論の誤り」というネガティブに歪められた情報が意識に上る。出来事をネガティブに歪めてしまう。

俺を嫌っているに違いない(俺なんかどうせ、、、)

↓↓

それが自動思考として体験されることになる。自動思考は自己、世界、未来についてネガティブな内容をもつためネガティブな感情が生じる 俺の人生はもうだめだ、、、

↓↓

抑うつ

BECK

代表的な「推論の誤り」の例としては。。。

  • 全か無かの思考:少しの失敗も認めることなく2分法的に結論づける
  • 破局化思考:現実的な可能性を検討せず、否定的な予測を増大させる
  • ”べき”思考:自己や他者に対して常に高い要求水準を課す
  • 過度の一般化:一度起こった(否定的な)出来事をいつも起こると考える
  • 飛躍的推論:他者の考えを確認もせず、わかっていると勝手に思い込む などがあります。

今回の、彼女からLINEの返事がこない。。に始まった例では、「オレを嫌っているに違いない」という推論の誤りは、破局化思考or飛躍的推論と考えられるでしょう。

※他にも心理学的観点からのうつ病発症に関する知見としては、

エイブラムソンの抑うつ的な原因帰属スタイル、ノレンーホエクセマの反芻と気晴らし、抑うつ気分への反応スタイル

などがありますので興味のある方は調べてみてください。今回のこの過去問の解答としては、有名どころのベックの認知理論のみでよいかと思われます。

 

3、社会学的視点

 

社会学的視点としては2つ取り上げたいと思います。

1)ライフイベントの影響

同じようなうつ病になりやすい傾向の人がいたとしても、重大なライフイベントを経験するかどうかによっても発症率は異なってきます。それだけライフイベントがうつ病に与える影響は大きいといえます。

代表的なものとしては、近親者の死別、子どもの独立、転居、失業、離婚、昇進、などです。

悲しい出来事やストレスフルな環境でうつは起こりやすいと思いがちですが、それだけでなく、喜ばしいことでも引き金となると言われています。例えば「昇進うつ」。憧れていた管理職になれたのに、リーダーシップが要求されるといった仕事の質が変化し、責任も重大となる、そんなストレスが、うつ病の引き金となるようです。

2)病前性格

うつ病になりやすい性格傾向として、テレンバッハが提唱した「メランコリー親和型」が有名です。

秩序を守り、他者に配慮する性格。仕事を真面目にこなして周りにも気を使える人なので評価は高い。が、頼まれたことを断ることができないために、ストレスを溜めてしまう。また秩序を重んじるため、変化に対応していくという柔軟性にも欠ける。このような特徴がうつ病をひきおこしやすい。

(※最近では「ディスチミア親和型」のうつ病が若年層を中心に注目されています。新型うつ病とも言われていて、自己愛が強く、仕事への熱意が薄く、社会的な秩序を否定する性格傾向。これについては、この記事の下↓のほうに補足があります)

以上ここまで内容について解説してきました。次に、どのような形で解答していくかについて考えてみたいと思います。

どうやって解答していくか

以前から度々、ブログ内で書いています、論述対策の雛型(解答形式)にあてはめます。

雛型についてはこちら⇒必見!これだけ知っておけばなんとか書ける【論述対策】|臨床心理士指定大学院受験

論述問題には、説明しなさいタイプ、比較しなさいタイプ、考えを述べなさいタイプがあって、その中で、この問題は「説明しなさい」タイプになります。なので、解答形式としては、以下のようなものを考えてみました。

序論:うつ病とは、抑うつ気分、意欲、興味、精神活動の低下、不眠などを主症状とする精神疾患である。その発症機序について、生物、心理、社会モデルに基づき、生物学的視点、心理学的視点、社会学的視点のそれぞれから述べる。

本論:まず、生物学的視点としては、~~~~~~~。次に、心理学的視点としては~~~~~~。最後に、社会学的視点としては~~~~~~。

結論:以上のように、モノアミン仮説、認知理論、メランコリー親和型性格、ライフイベントの影響、をうつ病の発症機序としてあげたが、これらは、それぞれが独立しているのではなく、複合的に絡み合いながら、うつ病は発症すると考えられている。

注意)必ずしも正解を保証するものではありません。

立教大学大学院を目指すならば、時間配分は命!!

ここで、立教大学大学院を目指す方へ。

立教大学大学院 現代心理学研究科 臨床心理学専攻の入試は 秋、春の年に2回。

入試の筆記試験は、

  • 英語 1時間
  • 専門科目(心理学及び臨床心理学)1時間。

つまり、英語と専門科目合わせて、たったの2時間しか筆記試験の時間がない。。。

その後、筆記試験の合格発表があって、合格者のみが口述試験(グループ面接)とすすみます。(グループ面接の対策についてはこちらの記事にかいてあります。⇒面接対策】知らなきゃ損する!面接で絶対に聞かれる質問とは?|臨床心理士指定大学院入試対策

専門科目(心理学及び臨床心理学)の問題は、

  • 用語説明 5問
  • 論述問題(文字制限なし)3問中2問を選択

という形です。

ってことは、用語説明を5問+論述2問 を1時間でやらなければいけないことになります

時間配分的には、

  • 用語説明1問につき5分×5問=25分
  • 論述問題1問につき15分×2問=30分
  • 余裕分 5分

くらいでしょうか。

だとすると、今日紹介したこの問題を何もみずに、たったの15分!!で書く 😡 、ということになります。あまりじっくり考えている余裕はなさそうな時間配分ですね。立教を目指す方は、ぜひこの時間配分を意識しながら準備されるとよいかと思います。時間がなければ、序論、結論は省いて本論だけ書くというのもありです。

ちなみに、問題はわりと基礎的な問題が出され、オーソドックスなものが多い印象です。英語は、心理学、臨床心理学に関する内容の英文の全訳が2問です。

立教大学大学院入試情報は→立教大学大学院




 

もう少し補足を加えます。

その他、うつ病に関して押さえておくべきもの

今回のこの問題は、症状、原因、援助、の中の「原因」にあたるものでしたが、症状を聞かれても、援助を聞かれてもすぐに答えられるよう準備しておきましょう。特に「援助」については、うつ病は一度治っても再発する可能性の高い疾患のため、援助の重要性は高い、といえます。受験生という段階では、よく言われていることをポイントを絞って抑えておく、で十分かと思いますが、日ごろから関心をむけておくことは必要と思います。

<症状>

  • 抑うつ気分
  • 虚無感、過剰な罪責感
  • 気分の日内変動がある(朝よりも夕方のほうがよい)
  • 不眠や過眠などの睡眠障害
  • 思考制止
  • 妄想(罪業妄想、心気妄想、貧困妄想)
  • 易疲労性(疲れやすくなる)
  • 自殺念慮

<援助>

薬物療法+休養+心理療法  が3本柱

  • 休養がまず第一だが、真面目な人で、仕事を休むことに抵抗がある場合は、休むことが仕事である、と伝える。
  • がんばりなさい、などの激励は禁忌
  • 心理療法としては、認知の歪みを修正していく認知療法、対人関係のスキル訓練などを行う行動療法か中心
  • 自殺念慮が強い場合は入院治療。

<DSM5の変更点>

DSM-Ⅳ-TRまでは、【単極性うつ病】(うつ状態だけを繰り返す)と【双極性障害】(躁状態とうつ状態を繰り返す)は同じ「気分障害」というカテゴリーに入っていましたが、2013年のDSM5では別々のカテゴリーにわけられるようになり、「気分障害」という言葉はなくなった、ということはおさえておきましょう。これは、双極性障害と単極性うつ病は別の病気である、ということをより明確にする意図があるといえます。また双極性障害のほうが軸(中心)となって、【双極性スペクトラム】として症状をとらえるという考え方が最近では提唱されているようです。

※DSMとは、アメリカ精神医学会が出している「精神疾患の診断と統計の手引き」。精神疾患の診断に使われているマニュアル。症候論に基づいています。DSMってなんのこっちゃ?って思った人は必ず、勉強しておきましょう。

<仮面うつ>

実際はうつ病にかかっていても、気分の落ち込みや悲しさなどの心の動きを自覚することができなかったり、それを言葉で表現できないがために、身体症状(疲れやすさ、不眠、頭重感など)はあるものの、一見うつとはわからない状態。うつを見落とす危険があり、最悪自殺未遂によってうつが発覚する場合も。

<新型うつ>

最近注目度が上がってきているため、過去問でみかけることがあります。さきほど、【ディスチミア親和型うつ病】ということを書きましたが、それにあたります。【非定型うつ】とも言われます。今後、さらに受験によく出てくる可能性は十分にありあすので、抑えておきましょう。

  • 気分反応性(気分の落ち込みはあるものの好ましいことがあると元気になる)
  • メランコリー型は自責感が強いが、ディスチミア型は、自責よりも他責。自分が悪くても人のせいにしてしまう。
  • 手足が鉛をつめたように重く感じるといった鉛様麻痺(えんようまひ)の特徴的な疲労症状がある
  • 対人関係において拒絶過敏性がある(些細なことでも自分のことを拒否したと否定的にとらえてしまう)
  • 過眠、過食になりやすい。

<ベック抑うつ質問票>

時々用語説明問題で出てきますのでおさえましょう。

うつ症状の重症度を測るための質問紙で、認知療法の提唱者であるベックが開発した自己記入式のものである。全21項目から構成されており、それぞれに4つの反応形式が記されている。最近2週間に最も当てはまるものを選択し、それぞれ0-3点で配点され、21項目の合計点がうつ症状の重症度得点となる。うつ病の診断やスクリーニングの検査として用いられている。

おすすめ書籍

★とてもわかりやすい。「非定型うつ」と「定型うつ」との違い、うつといっても、いろいろあることもよくわかります。非定型うつの根本には「不安気質」があるとされ、社会不安症やパニック症との関係についても書かれています。

まとめ

  • うつ病という広く知られた疾患だからこそ、きちんと知識を整理しておく
  • 精神疾患については、症状、原因、援助で分けて覚えておく
  • 解答するときは、生物、心理、社会モデルにもとづいて解答することが重要。
  • 本番の時間配分はめちゃくちゃ大事

いかがだったでしょうか。かなり量が多い記事になってしまいましたが、ここまでお読みくださりありがとうございます。必ずしも正解を保証するものではありませんが、受験勉強のお役に立てば幸いです。さて次回は、学習院大学大学院の過去問を解いていきたいと思います。

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