ご訪問ありがとうございます。こんにゃろうです。
秋受験、真っ最中のことと思います。もう受験直前だ!という方も多いのではないでしょうか。ってことで今回は臨床心理士指定大学院受験の面接対策について、書いていきます。
臨床心理士指定大学院|受験スケジュールで把握すべき最も重要な事でも書いたように、臨床心理士指定大学院入試の3つの合否の判断基準は筆記試験+研究計画書+口述試験(面接)です。
面接試験はこの3つのうちのひとつ。
ほとんどの大学院では、筆記試験が最も重要視されていて、面接はその補完的役割であると言われています。
とはいうものの、「毎回、筆記試験は受かるのに面接で落とされる。」という話もよく聞きます。
まずは、筆記試験に受かることが大事ですが、最終的に確実に合格を勝ち取るためには、面接対策はしっかりとすべきと思います。
ということで早速いきましょう。
絶対に準備していくべき2つの質問
面接試験で一番問われているものはこの2つ。
- 何故、この大学院を選んだのか?(志望動機)
- 何故、臨床心理士になりたいのか?(適性、資質)
この2つにつきます。
自分の経験上でも、この2つのどちらかは必ずといっていいほど面接の最初の方に聞かれました。
「まず、何故臨床心理士になりたいのか、次に、何故この大学院を志望しているのか、の2つを続けて説明してください。」と同時に聞いてくる大学院もありました。
このように、この2つの質問に対する準備は必須と考えられます。
では、それぞれの質問についてどのように準備していったらよいのでしょうか。
1、何故この大学院を選んだのか?(志望動機)
就職活動でも「何故、我が社を志望したのですか?」と聞かれますよね。それと同じです。
「臨床心理士になりたいから」だけではNGです。それならば、どこの大学院でもいいということになってしまいます。
そうではなく、このような特徴があるから、このような実習があるから、このような先生がいるから、このような研究ができるから、という、この大学院でなくてはならない理由を示せるかが大事。
そのためには、自分の目的意識を示すこと。なるべく具体的に示しましょう。
✖カウンセラーになりたい(抽象的)
◎児童期の発達障害をもつ子供への社会適応の支援がしたい(具体的)
◎ひきこもりの人に対してアウトリーチを視野にいれた心理的支援がしたい。
◎PTSDに対しての行動療法的支援がしたい。
将来、どのような人に対して どのような支援がしたい、というように具体的に示しましょう。
↓↓↓
↓↓↓
この大学院はこのような特徴がある。(このような授業がある、このような実習体制がある、先輩にこんな人がいる等)
専門とする指導教員がいる。
↓↓↓
という流れです。
※つまり、自分の将来像ー研究内容ー大学院の特徴の関連性です。
この流れを、できるだけ具体的に、簡潔に示せるようにしましょう。
正確な情報収集
ということは、当たり前ですが、その大学についてよく知っていなけれなりません。ありがちなのは、ネームバリューだけで志望大学院を決めてしまい、その大学院についての情報を収集せずに受験してしまっている場合は大変危険です。
可能な限り、情報を調べ、志望理由を明確に自分で準備していきましょう。情報収集についてはこちらに詳しくかいています。
勉強ではなく研究
「私はこういうことを勉強したい。」と言ってしまいそうですが、大学院は基本、「研究」をするところです。また臨床心理士は専門家として「研究」の姿勢が大事です。「勉強」よりも「研究」という言葉を使いましょう。
尚、自分の研究計画については、3分程度で簡単に説明できるようにしておきましょう。
テーマ⇒先行研究⇒目的⇒方法⇒仮説の順に説明しましょう。あくまでシンプルに!
研究計画書についてはこちらも参考にして下さい⇒研究計画書とは?初学者のための基礎の基礎|臨床心理士指定大学院入試対策
希望する指導教員
希望する指導教員をあらかじめ、願書に書かせて提出するところがほとんどです。もちろん、入学してから決めてもよいですよ、っていうところもあります。
自分が希望した指導教員のことは必ず調べておきましょう。論文、著書、最近どういったことに興味があるのかなど。
なぜならば、希望した指導教員が面接官になる可能性非常に高いからです。私も受験した大学院のほとんどは、自分が希望した教員からの面接を受けました。
2、何故臨床心理士になりたいのか。(資質、適性)
ここは、私は素直に自分を出せばよいと思います。
ただ、「人の役に立ちたいから」という理由はどうかと思います。
人の役に立つ仕事は、臨床心理士じゃなくても沢山あるはず。
特に、何故精神科医じゃなくて臨床心理士なのか。何故ケースワーカーじゃなくて臨床心理士なのか。
その辺りの「臨床心理士とはなにか?」をわかった上での答えをすべきではないかと思います。
つまり、臨床心理士という専門職と自分のアイデンティティがどう関係しているのか。
ということを答えられるか否かが1番大事だと思います。
このあたりのことは、研究計画書の研究テーマとも密接に関わっています。こちらの記事も参考にして下さい⇒【研究計画書】研究テーマの選び方ー何から始めていいかわからない人へ|臨床心理士指定大学院入試対策
社会人、他学部出身者は特にこの準備が必要
社会人から、他学部出身から、受験する人は、
- これまでのどんな仕事をしていたか、そこから何故臨床心理士になりたいと思ったのか
- 他学部出身者は何故心理に来たのか。
必ず聞かれると思って下さい。
その他 よく聞かれる質問
★筆記試験の出来はどうだったか。
★臨床心理士に必要と思われるものはなにか。
★自分の長所と短所をあげてください。
★臨床心理士になったときに、自分のどんな長所が活かせると思うか、また短所をどのように克服していきたいと思うか。
★(社会人から大学院をめざす場合でブランクがある場合は)どのように心理学を勉強したか。
「予備校で勉強しました。」は答えない方がよいと言われていますが、私は、社会人経験が長くブランクがあれば、そう答えても大丈夫だと思います。
★他の大学院は受験したか。
他を受験してても、「いいえ。」と答えたほうがよい。もしくは、同じ志向の特徴をもつ大学院の名前を挙げたほうがよい。全く志向の違う大学院の名前を挙げると「何故、うちの学校を受けたの?」ということになってしまう。
★今まで読んだ本で1番印象に残った本は?
★心理職は、経済的にも精神的にも厳しいと思うがその点はどう考えているか
★入学後は、経済的にも時間的にも大変になるが大丈夫か
★(研究計画書の内容で)この研究は実現可能かどうか。研究協力者を集められるか。
例えば、「発達障害の子供をもつ親に対して◎◎といった尺度を用いて。。。」と書いてあったとしたら、どこで「発達障害の子供をもつ親」とアポをとるつもりなのか?人脈があるのか?(研究協力者)
また、大学院は2年しかないので、2年間でその研究できるのかどうか?(実現可能性)。。。これらに関しては研究計画書を書く段階で考えておくべきです。実現可能性が薄い研究計画書は、面接で突っ込まれる可能性大です。
研究協力者に関して、現時点では何もない場合は、「これから開拓していきます。」と答えるのもあり、だと思います。
研究テーマの実現可能性についてはこちらにも書いていますので参考にして下さい⇒【研究計画書】研究テーマの選び方ー何から始めていいかわからない人へ|臨床心理士指定大学院入試対策
★この研究計画書は、あなたの卒業論文とどう関連しているのか。
卒業論文を、願書提出のときに一緒に提出する大学院もあります。そのような大学院の場合、研究計画書が卒業論文と関連性がない場合はしっかりと準備を。特に理系出身者は、何故理系から心理に来たのか、を言えるように準備しておこう。
★希望の先生につけなくてもよいか。
等など、いろいろ挙げましたが、可能な限り準備していきましょう。
もしも、意地の悪い質問をされたら?(圧迫面接)
意地の悪い質問をされることもあります。
- 「その志望理由なら他の大学院のほうがいいのでは?」
- 「ほんとにこの研究できるの?」
など、意地悪い口調で聞いてくるもの。
意地の悪い質問をされたからといって、不合格というわけでは決してありません。自分だけでなく他の受験生にも意地悪な質問をしているはずです。
謙虚さと真面目さを示すことが大事
特に、研究計画書について詳しく突っ込まれた場合、なかなかうまく答えれない場合があります。そんな時は。。。。
素直に自分の未熟さを認めて。。。
「説明不足で申し訳ありません。」
「勉強不足だった点があったかもしれません。」
「ご指摘ありがとうございます。」
「ご指摘頂いたところを考え直していきたい思います。」
反論したりせず、謙虚に、自分の足りないものを認める、という姿勢を示していくことが大事です。
そもそも、受験生がはじめから完璧な人格で、完璧な研究ができるなんてことはないわけですから。そのことは面接官もよくわかってるはずですので。
あぁ、これが圧迫面接なんだなー
焦るな、といっても、意地悪な質問をされたら、焦ってしまうのが自然です。
「あぁこれが圧迫面接なんだなー」と、少し客観的に思うだけでも落ち着くと思いますので、心の余裕を持つようにしましょう。
圧迫面接は、気合だけでは乗り切れない(重要)
ここで注意点です。度胸さえあれば、とか、気合さえあれば、圧迫面接なんて。。。と考えるのは大きな間違いです。
いくら意地悪な質問をされたとしても、
志望理由にしても、研究計画にしても、自分の将来像ー研究内容ー大学院の特徴の関連性をしっかり考え、大学院の情報をしっかりと調べていれば、なんとか乗り切れます。
これらの準備を怠れば、圧迫面接では、やはり、足らない部分を見抜かれて、たじたじになってしまいます。
圧迫面接に打ち勝つためにも、先ほどの2つの質問に対する準備だけはしっかりと怠らずに!
グループ面接への対策
グループ面接とは、5、6人ずつくらいで受験生がグループに分けられ、架空の事例を読んだ後、受験生同士でディスカッションを求められるという形のもの。このタイプの面接を課す大学院があります。関東では、法政大学大学院や立教大学大学院などです。
グループ面接で重要なのは以下の2つです。
1、臨床心理学的な視点
与えられた事例問題には正答はない、と思ったほうがよいです。ディスカッションができるように、様々な視点から答えられるような事例が出ているので、この問に正解しなければいけない、というようなプレッシャーは捨ててしまいましょう。
一例を挙げます。「プレイセラピーの中で9歳のクライエントがお父さんの絵を描きました。クライエントはお父さんに見せたいと言って、絵を持って帰りたいと言い出しました。セラピストのあなたはどうしますか?」というような事例。
「持って帰ってもよい。」と答えても「持って帰らないほうがいいのでは。」と答えても、ちゃんとした根拠があれば、どちらも正答だと思います。
ただ、自分の意見を述べる際にあまりに基礎知識や臨床心理学的視点を欠いた意見であってはいけません。
この場合は、プレイセラピーにおける「制限」についての基礎知識は必要です。持って帰るにしてもしないにしても、何のために「制限」はあるのか、といった視点が必要です。
※プレイセラピーの「制限」とは、Axline,Vがセラピストに求める態度として提示した8原則の中で示したものです。治療的遊びを促進するための枠組みで、セラピストへの身体的攻撃の禁止や安全と健康を害する行為の禁止、備品への物理的攻撃の禁止。。。などがあります。
また、
「私はプレイセラピーをやったことがないからわかりません。」とか「私はそのクライエントに会ったことがないからわかりません。」という意見は、ディスカッションを放棄しているのでこのようなことは言わないほうがよいです。受験生はやったことがないのが当たり前で、自分の知識に基づいて最大限言えることを一生懸命述べることが大事と思います。
※事例問題についてはこちらに詳しく書いています⇒【論述対策】事例問題を切る!何故事例問題は難しいのか?|臨床心理士指定大学院入試対策
2、協調性があるか。(最も重要)
✖他の人の意見は聞くけれど、一方的に反論し自分の意見だけを主張する
◎他の人の意見を真摯に聞いて、他の人の意見を認めつつ、自分の意見を述べ、グループ全体が発展的な方向になるようにもっていく。
決して、他の人を蹴落として自分が合格しよう、などという事は思わないこと。そう思っていると、言葉の端々に出るだろうし、面接官は心理の専門家。すぐに見抜かれてしまいます。
同じグループになった人とは、共に合格しよう、くらいの気持ちで!
※1の臨床心理学的な視点については筆記試験でも見ることができるため、グループ面接では、2「協調性」が1番みられていると思われます。
どんな服装をしていけばよいか
最後に服装ですが、シンプルなスーツが望ましいです。就職活動のときに着るようなリクルートスーツです。
臨床心理士は、人としての「信用」が1番問われます。
非常識な格好をしていけば、かなりの確率でアウトになります。
そういう意味で髪型やアクセサリーや化粧も気をつけてください。地味であることがベストです。だいたいの大学院は筆記試験の終了後に面接試験ですので、スーツを着たまま筆記試験を受けることになります。
まとめ
- 絶対に聞かれる2つの質問とは、「何故、この大学院を選んだのか?(志望動機)」「何故、臨床心理士になりたいのか?(適性、資質)」つまり、自分の将来像ー研究内容ー大学院の特徴の関連性。この準備は必須。
- 圧迫面接では謙虚さを忘れずに。
- グループディスカッションでは、協調性が最も重要。
- 服装はシンプルなスーツが望ましい
以上、いろいろと書きましたが、準備さえ怠らなければ多少失敗があっても、あまり気にすることはないです。大学院側は、受験生を【これから育てていく人】としての素質を見ているので、受験の段階で、完璧な人格は求めていないのです。あまり神経質にならず、謙虚さ、誠実さだけを忘れずに大らかな気持ちで挑みましょう。
さて、次の記事は、臨床心理士指定大学院入試で最も難解とされる事例問題をとりあげています。事例問題が出る大学院を受験される方は必見です。
>>次の記事は↓↓
【論述対策】事例問題を斬る!何故事例問題は難しいのか?|臨床心理士指定大学院入試対策